- 最終更新日: 2024.08.30
- アドバイス
【精肉職人解説】知っておきたい牛肉の基本的評価基準(等級・B.M.S・牛種)
こんにちは!Bavi編集部です。
皆さんは、何を手がかりに美味しい牛肉を選んでいますか??そこで今回は、牛自体の基本的な評価基準となる等級(ランク)・B.M.S・牛種などについてお届けします。
しかし、それがどういうことを示しているのか、しっかり理解してない方も多いはず・・。これを見れば、スーパーの牛肉表示情報も理解できるかも?!牛種や高級肉との違いなど、牛肉について気になる情報も補足します。
(ちなみに、等級が最高であれば美味しいという訳ではないのですが…それはまた次回♪)
牛肉について知り尽くした職人歴17年のBavi専属精肉職人土屋による監修コラム。ぜひ参考に♪
▼「精肉職人的」牛肉の美味しさについてはこちら▼
https://bavi.jp/contents/beef-evaluation2/
目 次
牛肉評価基準その1「牛肉等級(ランク)」
ここでは、A5・A4など高級牛肉の代名詞とも言える等級(ランク)について、精肉職人土屋の視点を交えてお話しします。
等級(ランク)とは?
牛肉は格付を示す等級(ランク)で表すことができます。A5・A4などの等級は、公益社団法人日本食肉格付協会の格付員が市場などで牛肉を直接確認し判定する、牛肉の品質を示す目安です。
上記の表の通り、牛肉の等級は、歩留(ぶどまり)等級と肉質等級を組み合わせた15段階で評価されます。
歩留等級と肉質等級
歩留等級
牛の生体から内臓、骨、皮などを取り除いた枝肉から得られる部分肉の割合の評価。A(標準より良い)、B(標準)、C(標準より劣る)の3段階評価で、牛1頭から得られる部分肉の割合が高いほど良い評価となります。
肉質等級
「脂肪交雑(サシ)」「肉の色沢」「肉の締まり及びきめ」「脂肪の色沢と質」の4項目を1~5で5段階評価します。4項目中、最も低い等級が肉質等級として判定されます。
牛肉評価基準その2「B.M.S(牛脂肪交雑基準)」
サシ、霜降り、B.M.S…聞いたことがあるけど詳しくは分からないという方も多いのでは?ここで、精肉職人土屋の視点も交えて簡単にご説明します。
B.M.S(牛脂肪交雑基準)とは?
B.M.Sとは、ビーフ・マーブリング・スタンダードの略で、肉質等級の項目うち、「脂肪交雑(サシ)」の評価基準です。サシ(霜降り)の度合い、つまり赤身の肉にどれだけサシが入っているかを以下のように絵で示しています。
このB.M.Sにより12段階で評価し、等級が決められます。ちなみに、12ランク中、No.12が最良とされます。
B.M.Sと等級
精肉職人土屋によると、牛肉において特にA5ランクの評価をするにあたっては、基本的にB.M.Sの評価が等級に直結する、つまり、B.M.Sだけを見ていると言っても良いのだそう。また、インジェクション加工肉(外国産など安価な肉に脂を注入してサシがを入れる)など、現在ではA5ランクの肉を人工的に作り上げることができるようになったと言います。
年間で約90万頭の牛がランク付(格付)されますが、そのうち20%弱は最高ランク「A5」評価が付けられています。
牛肉評価基準その3「牛の種類(国産牛、和牛、ブランド牛の違い)」
国産牛・和牛・ブランド牛…意外と違いが分からない方も多いはず。ここではそうした牛の種類についてお話しします。
国産牛とは?和牛とは?
牛は「国産牛」「和牛」「外国産牛」に分けられます。特に紛らわしい国産牛と和牛ですが、農林水産省によると、以下のように明確な違いがあります。
国産牛は、品種や生まれた土地に関係なく、生まれてから出荷までの間、最も長く日本で飼育された牛のことを指します。一方の和牛は、黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種と、これら4品種の間での交雑により生まれた牛のことを指します。
農林水産省.”誰かに話したくなる お肉の豆知識”.公式サイト.https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2009/spe1_01.html,(2024/8/19)
つまり、外国生まれであっても、日本での飼育期間が一番長い場合は、国産牛となります。また、厳密に言えば和牛は国産牛に含まれるのですが、和牛は牛の品種の一種であり、国産牛とは原産地のことを意味します。日本で流通している和牛うち約98%は黒毛和種です。
ブランド牛(銘柄牛)とは?
ブランド牛(銘柄牛)は、品種・種別、枝肉の格付、飼育方法など各ブランドごとに定義があり、厳格な品質評価基準を満たした牛のことを指します。ブランド牛(銘柄牛)は日本各地で320種類以上が肥育され、その全てが和牛の黒毛和種です。
代表的なブランド牛(銘柄牛)
但馬牛、神戸ビーフ、松阪牛、近江牛、米沢牛、前沢牛、仙台牛など
上述したように、ブランド牛(銘柄牛)はブランドごとに定義が異なることから、ブランド別に肉の品質や美味しさを比べること(このブランドが美味しい!など)は一概にはできないでしょう。
▼山形牛・米沢牛あり♪Bavi通販サイト紹介コラム▼
補足:ブランド牛との違い
牛肉の等級のお話をしてきましたが、そもそも、高級と言われる牛肉とスーパー等で購入できる一般的な牛肉は、飼育の時点でどのように違いがあるのでしょうか?精肉職人土屋に聞いてみました。
飼育環境
ブランド牛(銘柄牛)などに比べると一般的な牛は、牛にストレスがかかりやすい飼育環境の場合が多いです。広さ、換気、エサ場、温度など牛舎の構造が関わってきます。
エサの質の違い
どれだけ良質なエサが与えられるかどうかにより、肉質が変わってきます。
牛のケアの仕方
日々のブラッシングなど牛のケアが不十分であると、血液の流れが悪くなり、精肉にした場合味が落ちる傾向にあります。また、不純物の含有量の多さも味に影響を与えます。
牛肉評価基準まとめ
今回は、牛自体の基本的な評価基準となる等級(ランク)・B.M.S・牛種などについてお届けしました。いかがでしたか?
等級は総合的に肉質が良い状態を表すもの。
B.M.Sは等級評価にかなり近しいもの。(等級 ≒ B.M.S)
牛種はそれ毎に定義や評価基準が違う。
なので、牛肉評価が高いもの、高級肉であることが一概に牛の美味しさに直結するものではないということがお分かりいただけたかと思います。
しかしその一方で、「等級 ≒ B.M.S」とあるように、基本的な評価基準としては、特に「脂の質」が重要視されているとも言えるでしょう。
次回はその脂の話について掘り下げつつ、皆さんが「あなた好みの美味しさ」を見つける手がかりとなるよう、精肉職人土屋が考える「牛肉の美味しさ」について熱く語りたいと思います(笑)。お楽しみに!
【参考情報】
・農林水産省
誰かに話したくなる お肉の豆知識
aff2016年8月号 牛肉
・牛肉料理しもかわ
・焼肉U
・農畜産業振興機構
・サカエヤ
・畜産ZOO鑑
監修者紹介
Bavi専属精肉職人:土屋
精肉職人歴17年。某大手スーパー精肉部門を拠点に精肉技術を磨いた。主任兼技術トレーナー。時にホテル、時に寿司屋、時に刃物店…付随する技術は自ら足を運んで修行の毎日。セルコグループ精肉部門技術コンテストにて堂々の日本一獲得。特技は体操。趣味はバイク・車・料理。
▼プロフィール詳細▼
https://bavi.jp/contents/bavi-meat/
チームBaviはバーベキューのプロ集団。10年以上続く出張BBQサービスの経験を活かして、信頼できる情報をお届けします! 出張BBQのご用命はコチラ▶▶▶【Bavi(手軽にBBQ.com)】https://www.gpc-bbq.com/