「精肉職人的」牛肉の美味しさとは?!脂肪融点・不飽和脂肪酸×味わいがポイント★【アドバイス】 | 日本最大級のバーベキュー場プラットフォーム Bavi

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  • 最終更新日最終更新日: 2024.08.30
  • コラムカテゴリー アドバイス

「精肉職人的」牛肉の美味しさとは?!脂肪融点・不飽和脂肪酸×味わいがポイント★

こんにちは!Bavi編集部です。
今回も前回に引き続き、牛肉の美味しさについて考えていきます。前回は、牛肉の基本的評価基準(等級・B.M.S・牛種)をご紹介しました。

その中で、今回は牛肉の美味しさにとって欠かせない脂(脂肪融点不飽和脂肪酸)の話を掘り下げつつ、精肉のプロである精肉職人土屋が考える美味しい牛肉の条件、そして「美味しい牛肉とは何なのか?」について解説していきます。

Bavi専属精肉職人土屋は職人歴17年、牛肉について知り尽くしています。コラムの最後に、精肉職人がおすすめする美味しい牛肉部位、美味しい焼き方のコツもご紹介します。ぜひご覧ください♪

▼牛肉の基本的評価基準(等級・B.M.S・牛種)についてはこちら▼
https://bavi.jp/contents/beef-evaluation/

目 次

牛肉の脂肪融点と不飽和脂肪酸

牛肉の美味しさに関して調べると、必ずといって良いほど見かけるのが脂肪融点不飽和脂肪酸。これは一体何なのか、詳しく見ていきましょう。

脂肪融点と不飽和脂肪酸

食肉科学技術研究所では、脂肪融点について以下の記述をしています。

『脂肪の融点』とは脂肪が溶け始める温度のことです。調理によって加熱して溶けた脂肪は食肉になめらかな感触を与えるため、食べた時においしさとコクを感じさせる要素となります。

食肉科学技術研究所.”脂肪融点と脂肪酸との関係”.公式サイト.http://www.shokunikukaken.jp/wp/wp-content/uploads/2024/04/%EF%BC%83102%E3%80%80%E8%84%82%E8%82%AA%E8%9E%8D%E7%82%B9%E3%81%A8%E8%84%82%E8%82%AA%E9%85%B8%E3%81%A8%E3%81%AE%E9%96%A2%E4%BF%82.pdf,(2024/8/22)

牛肉の脂肪には、「オレイン酸(旨味成分)」などの不飽和脂肪酸が含まれます。この不飽和脂肪酸が多く含まれる肉ほど、脂肪が溶け始める温度が低い(=脂肪融点が低いため、口に入れた瞬間に脂肪が溶け出し、肉汁があふれます。

特に、サシ(脂肪交雑)の中の脂は甘みがあり、ジュワ〜と口溶けが良いです(土屋談)。

つまり、脂肪融点が低い牛肉ほど、旨味と甘みがあり、脂がまろやかでとろけるような食感が生まれるということです。

牛品種別の脂肪融点(松阪牛の例)

こちらは、牛の品種別に脂肪融点を比較した表です。一例としてブランド牛の松阪牛に注目してみました。旨味成分を含む不飽和脂肪酸の比率が高く、脂肪融点が17.4℃と他の品種に比べ際立って低くなっています

松阪市.”松阪牛の美味しさの秘密”.公式サイト.https://www.city.matsusaka.mie.jp/site/matsusakaushi/oishisanohimitsu.html,(2024/8/21)

松阪市によれば、松阪牛の中には脂肪融点が13~14℃程度のものもあり、手のひらにのせれば容易に溶け出すほどだと言います。精肉職人土屋としては、14~15℃程度であれば脂肪融点が低いと捉えるとのことでした。

高級牛肉を食べた感想として、口溶けが良い、肉汁があふれるなどよく聞くフレーズですが…脂肪融点の低さは牛肉の美味しさを感じる要素の一つと言えるでしょう。

【精肉職人的】牛肉評価基準

牛肉の美味しさについて考える上で、基本的な牛肉評価基準(前コラム)、さらに脂の話を掘り下げて、「脂肪融点・不飽和脂肪酸」についてご紹介してきました。

ですが、実はこれだけが牛肉の美味しさを評価する基準ではないのです。結論から話すと、精肉職人土屋的肉の美味しさに必要な評価基準には、さらに「牛肉の味わい(風味・食感)」、が必要になります。

さて、どういうことなのか?!「美味しい牛肉の条件」を解説していきましょう。

・牛の種類(性別・血統・肥育環境)
・肉と脂の品質(牛肉等級・B.M.S・脂肪融点)
・味わい(旨味・甘み・風味・食感)

牛の種類(性別・血統・肥育環境)

性別

オスは肉質が派手で粗く、雑味や臭みが強い傾向にあります。それに比べ、メスは不飽和脂肪酸が多く含まれ、脂肪融点が低いことから(そもそも体温が低い)、旨味が強く美味しいとされます。松阪牛や米沢牛などに至っては、ブランド定義でメス牛に限っているほどです。

血統

また、高級と言われる牛肉は血液(血統)が良く、血統が良い牛ほど旨味は強くなります。良い肉には必ず血統書が付きます。

東洋経済オンラインに血統について以下の記述がありました。

神戸牛、松阪牛、近江牛などブランド和牛があるのは、DNAを引き継ぐ血統を守る、という概念が日本の和牛肥育農家にはあるから。これだけ肉質の良さが保たれ、継続して肥育されているいちばんの要因は、血統が守られているからです。

東洋経済新報社.”牛肉が好きな人に教えたい「3大血統」の凄み”.東洋経済オンライン.2018/6/5.https://toyokeizai.net/articles/-/223255?display=b,(2024/8/23)

美味しい牛肉を作り続けるにあたり血統を守ることの重要性が分かりますね。

肥育環境

衛生的で整った牛舎環境、良質なエサが与えられ、ブラッシングなど十分なケアが行われた、ストレスが少ない牛であることが重要です。

また、和牛は約30ヶ月と肉用牛の中でも肥育期間が長めですが、ブランド牛はそれ以上となるものもあります。ゆっくりと時間をかけて肥育された月齢が長い牛ほど、脂肪融点は低くなり、美味しさにつながります。

肉と脂の品質(牛肉等級・B.M.S・脂肪融点)

牛肉等級・B.M.S

牛肉等級は総合的な肉質の良さを表す指標と言えますが、B.M.S(サシの入り具合)項目の評価こそが牛肉等級を決めると言っても過言ではありません。つまり最高ランクA5等級の牛肉は最も脂がのっているとも言えます。

牛肉にとって脂は非常に大事なものです。美味しい牛肉は脂に甘みがあり、何より脂に旨味が詰まっています

現にスーパー勤務時代は、良い肉はなるべく脂を取り除かないようにしていました。バラは加工時に余分な脂を落とすこともありましたが、もも肉でも脂を残していました。皆さんが自宅でカットする際も、ヘルシーと言いながら脂を落とし過ぎるのは禁物です。

脂肪融点

脂(脂肪)に旨味成分オレイン酸などの不飽和脂肪酸を多く含む牛肉は、脂肪が溶け始める温度が低いため、口に入れた瞬間に脂肪が溶け出し、ジュワ~っと肉汁があふれます。旨味が多い牛肉ほど、脂肪融点が低いと言えます。(個人的には融点14~15℃が低いと感じます)。

味わい(旨味・甘み・風味・食感)

旨味・甘み

上述した通り、脂の旨味・甘みが牛肉の美味しさにつながっていると考えています。旨味について言えば、血統の良いメス牛がおすすめです。

風味

牛肉は赤身と霜降り(サシ)のバランスは重要です。赤身の率が高いほど肉の風味は良くなり、脂の甘みは弱くなります。反対に、霜降りの率が高いほど脂の甘みは強くなり、逆に肉の風味は薄くなるのです。

その点から考えると、A5等級に比べ、赤身の多いA4・A3のほうが風味は良いのです。一般的にA5が美味しい!と言う人が多くいるのは、サシが多いことで脂肪融点が低く柔らか、また、脂の旨味・甘みを感じて美味しく感じやすいからです。

食感

一般的に肉は柔らかければ美味しいとされることが多いですが、私個人としては柔らかさ=美味しさとは思っていません。しかしながら、食感の良さは美味しさに通じると思います。

肉質で言うと、美味しい牛肉であればあるほど筋繊維が柔らかいです。そこから生まれる食べたときの舌触りのなめらかさ、とろけるような口溶けの良さも食感の決め手となります。

【精肉職人的】牛肉の美味しさは?「脂と味わいのバランス」

上記で、精肉職人土屋が考える牛肉評価基準を挙げてもらいました。ここでは、自身が考える等級と美味しさの関係、そして、結論として牛肉の美味しさとは何か、語ってもらいました。

牛の種類、肉と脂の品質と美味しさ

前コラムで牛肉等級(ランク)についてご説明しましたが、一般にA5など等級が高い牛肉が高級、美味しいとされますね。でも、等級は見た目の評価で、美味しさ(味)の評価ではないと言われています。(私も等級と味の関係性はかなり薄いと考えています。)

A5など等級が高い牛肉が美味しいと言われるのは、脂が関係していると考えます。良い肉は霜降り(サシ)が多く、脂肪融点が低いことで、旨味を感じやすいのです。(等級はB.M.S<サシの入り具合>で全てが決まるとも)。

同様に、メス牛が好まれるということや血統が良い肉が美味しいとされることも、全て肉と脂の品質が旨味と甘みにつながっているからと説明することができます。

味わい(風味・食感)も大切

ただ、前述したように、A5より赤身の多いA4・A3などの方が肉の風味が良く脂の甘みを抑えることができます。一概にA5が最上級の美味しさとは言えないのです。A5は脂が多いので脂っぽいと感じる人がいるのもまた事実…人によって評価が分かれるところですね。

また、サシが入った肉は当然柔かく感じることが多いのですが、美味しい牛肉であればあるほど筋繊維自体が柔らかいもの。サシの柔らかさではなく、肉質がとろけるような口溶けの良さも、ぜひ体感してほしいものです。

結論として

成分的にも脂は旨味で、確かに、牛肉の美味しさを左右する大きな要素だと思いますし、それを活かして調理すべきです。しかしながら、私個人としては、そればかりではなく「肉本来の味が分かるもの」が美味しい牛肉だと考えています。

難しい質問ですが、牛肉の美味しさは、牛自体の要素と育った環境、肉と脂の品質、味わい(旨味・甘み・風味・食感)などの要素が重なり合って生まれるものと考えています。

また、ここで挙げた牛肉の美味しさについては個人的な見解ですので、人によって美味しさの違い、感じ方がそれぞれなのはもちろんです。

牛肉は、部位によっても美味しさや柔らかさが様々なので、サシが入ったA5のお肉以外に、色々な部位を楽しんでみるのもおすすめですよ。

▼BBQでおすすめの牛肉部位ランキングはこちら▼

【精肉職人的】美味しい牛肉部位&焼き方のコツ

最後に、精肉職人土屋に、おすすめの美味しい牛肉部位と焼き方のコツを聞きました!どうぞ参考に♪

おすすめの美味しい牛肉部位「カイノミ」

美味しさの好みは「人によって違う」のでおすすめは一概には言えませんが…例えば、牛肉の中でも、さっぱり系、濃い味、ジューシー、食感(硬い・柔らかい)などによって異なりますね。

個人的には「カイノミ」がおすすめ!中バラの一部でヒレの近くにある希少な高級部位ですが、バラの風味が良く味が濃いです。ステーキ、しゃぶしゃぶ、すき焼きなどに良いです。

美味しい牛肉の焼き方のコツ

・ステーキは、肉を立てて脂だけを先に焼いてから両面を焼く。肉の表面が汗をかいたら(水分が出てきたら)ひっくり返す目安(下に火が通った合図)。

・基本は、さっと焼いてまだ水分が残っていたら水分を飛ばす。しゃぶしゃぶするように肉を網の上で踊らせると、しっかりと焼けた状態になる。

牛肉の美味しさとは(脂肪融点・不飽和脂肪酸) まとめ

今回は牛肉の美味しさにとって欠かせない脂(脂肪融点不飽和脂肪酸)の情報を掘り下げて、精肉職人土屋が考える美味しい牛肉の条件、そして「美味しい牛肉とは何なのか?」についてお届けしました。いかがでしたか?

皆さん脂は大敵!と言いつつ、サシが美味しいと思っている日本人がなんと多いことか…笑。精肉職人土屋によると、肉は脂こそが旨味ということでしたので、皆さん概ね正解⦿

しかし、だからといって脂だけが美味しい理由ということではなく、味わいも作用して、牛肉の美味しさが生まれるとのことでしたね。だからこそ、等級A5ランク=最も美味しい!というわけではなく、風味など優先事項によってはA4・A3の方が美味しい場合もあるということでした。ぜひ、牛肉選びの参考にお役立てください♪

今後も、精肉職人土屋にお肉についての疑問を大いに解決していただきましょう!Baviお肉コラム、次回をお楽しみに!

【参考情報】
・農林水産省
誰かに話したくなる お肉の豆知識
aff2016年8月号 牛肉
牛肉料理しもかわ
食肉科学技術研究所
・焼肉U
ブランド牛とは? 黒毛和牛って?国産牛とは?
これを知らないで食べているの?牛肉の美味しさを左右するのは「不飽和脂肪酸」
農畜産業振興機構
矢野畜産
松阪市
東洋経済オンライン

監修者紹介

Bavi専属精肉職人:土屋


精肉職人歴17年。某大手スーパー精肉部門を拠点に精肉技術を磨いた。主任兼技術トレーナー。時にホテル、時に寿司屋、時に刃物店…付随する技術は自ら足を運んで修行の毎日。セルコグループ精肉部門技術コンテストにて堂々の日本一獲得。特技は体操。趣味はバイク・車・料理。

▼プロフィール詳細▼
https://bavi.jp/contents/bavi-meat/

Bavi編集部

チームBaviはバーベキューのプロ集団。10年以上続く出張BBQサービスの経験を活かして、信頼できる情報をお届けします! 出張BBQのご用命はコチラ▶▶▶【Bavi(手軽にBBQ.com)】https://www.gpc-bbq.com/

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