最終更新日: 2024.08.19
-
アイテム
包丁砥石とは?役割・種類・特徴・粒度(番手)など【プロ解説】【初心者向け】

こんにちは!Bavi編集部です。
今回は、包丁を研ぐための包丁砥石(ほうちょうといし)の基本情報(種類・粒度/番手)についてお届けします。
※特に、人造砥石について詳しくご紹介!
Bavi専属精肉職人土屋は、精肉の知識・技術はもちろん、同時に精肉加工の道具である包丁の知識・技術も磨いてきました。特に包丁研ぎに関しては、有名研師に指南を受けたほど…
そんな精肉職人土屋は砥石にこだわりがあり、19もの砥石を所有しています。砥石の基本情報について監修してもらいましたので、砥石選びの基礎情報としてぜひ!
https://bavi.jp/contents/whetstone2/
▼包丁の研ぎ方コラムはこちら▼
包丁砥石の基本情報

砥石とは?
研ぎ器・砥石とは刃物を研磨して切れ味を回復させる道具のことを指します。
貝印株式会社.”包丁研ぎ”初心者から上級者まで覚えておきたい、研ぎ器・砥石の種類や選び方とポイントを解説!”.公式サイト.https://www.kai-group.com/media/kitchen/458/index.html(2024.8.1)
刃物を研磨して…とありますが、包丁だけでなく、金属や石材の磨き、研ぎ、削りなど、砥石には多様な用途のものがあります。形もよく目にする四角い砥石以外に、様々な形のものが存在します。
※本コラムでは、包丁を研ぐための砥石(包丁砥石)に特化してお伝えします。
ちなみに…
包丁研ぎに砥石ではなくシャープナーをお使いの方もいらっしゃると思います。シャープナーは一時的な切れ味復活のために使用する道具で、砥石とは別物なんです!
▼砥石とシャープナーの違いとは?詳細はこちら▼
砥石の種類(天然砥石と人造砥石)

一般的な刃物を研ぐための砥石には、天然砥石と人造砥石があります。精肉職人土屋の視点も交えてそれぞれご説明します。
天然砥石
地質の硬い層から採掘した岩を平面加工した石材。採掘場の減少や人造砥石の性能向上により、良質な天然砥石は高価で取引されます。流通が少なく、性質にムラがあり目利きが必要なため、職人向けと言えます。
補足
・天然砥石は何億という数え切れない程の種類があり、刃物屋でも詳しくは分からないのが現状です。
・地層から出来ていることから、マグマが当たっていたなど様々な要素によって高価格のものがあります。
・採掘する山によって粒子や成分が異なる不均一な塊なので、研ぐと徐々に砥粒が粉砕され、仕上がりがより細かくなります。
・精肉職人土屋もいくつか天然砥石を所持しています。(詳しくは砥石の選び方コラムにて)
人造砥石
硬い粒子(研磨材)を四角く人工的に加工した砥石。一般に流通している砥石はほぼ人造砥石です。天然砥石の研ぎ味を目指して組成を研究し精製されたため、性能にムラがなく安定した粒度を選べ、扱いやすいと言えます。
補足
・天然砥石に比べ、番手が記載されていて選びやすいです。
・柔らかい砥石は変形しやすい性質があるので注意が必要です。
・人造砥石は包丁の鋼材の成分中の粒子を破壊できるので、均一化が可能で研磨力が高いと言えます。
現在出回っている砥石の多くは人造砥石ですが、砥石によっては、両面天然仕上げや片面天然・片面人造仕上げと多種類あるので、使ってみるのも良いかもしれません。
人造砥石(包丁用)の特徴

現在流通しているもののほとんどは人造砥石だとお伝えしました。ということは、皆さんが使用する可能性が高いのはやはり人造砥石でしょう。ここでは、人造砥石の特徴を見ていきます。
人造砥石の3要素
人造砥石の性能は以下の3つの要素で決まります。
・砥粒(研磨材)
・結合材(製法)
・気孔
砥粒(研磨材)
砥石の主原料となるもの。刃を研磨する際に必要な粒子で多くの種類があり、それにより硬度や粘りが変わります。一般砥粒(溶融アルミナ質、炭化ケイ素質など)と、超砥粒(ダイヤモンド、CBN<ホウ素>など)と大きく2つに分けられます。
結合材(製法)
砥粒同士を結合しつなぎ合わせる役割。種類や配合により砥石の性能がコントロールされます。
気孔
削る時に発生する削りカスと摩擦による熱を解消するための穴。砥石の中にある砥粒と結合材の間の隙間であり、削りカスを一時的に溜めて排出したり、空気を運んで熱を持った砥石を冷やしたりする役割をしています。
以上の3要素の中で、人造砥石の性能を大きく左右するのが、結合材(製法)です。精肉職人土屋の視点も交えて3つの製法をご紹介します。
人造砥石の製法

ビトリファイド製法
砥石を焼いて作る製法。
特徴
・非常に硬く強度が増す。
・平面維持能力(砥粒保持力)が高くなる。
・研いでいて砥石の変化がより少ない製法。
レジノイド製法
結合材に樹脂を使って低温で焼き入れを行い作る製法。
特徴
・ビトリファイド製法に比べ柔らかな砥石。
・弾性があるため研削力は低め。
・面直し(※)を定期的に行う必要あり。
※面直し(つらなおし)…刃物を研ぐことで凹んだ砥石の表面を修正砥石などで平にすること
マグネシア製法
マグネシアオキシクロライドというセメント系の結合材を使い、砥粒と練り固めた後に乾燥させる製法。
特徴
・使用前に水に浸けておく必要性がない砥石。
・砥粒(研磨材)が良く出て研削力が良いとされる。
・平面維持能力(砥粒保持力)は非常に低い。
包丁砥石の種類と粒度(番手)

ここでは、砥石の種類と粒度(番手)についてご紹介します。砥石は、天然・人造に限らず、粒度(砥石表面のザラザラ具合・目の粗さを数字で表したもの)により以下の3種類に分けられます。
・荒砥石
・中砥石
・仕上砥石
粒度は番手(ばんて)とも言い、全て「#」で始まるミクロン単位の砥粒で、数字が小さいほど荒く、数字が大きいほど細かくなります。粒度が小さいものから順に「荒砥石」→「中砥石」→「仕上砥石」となります。それぞれ特徴を見ていきましょう。
荒砥石(あらといし)

粒度(番手)
・一般的に#80~#600
※標準は#200
特徴
・研削力が高い
・包丁を握る力が強く、刃の減りが大きい場合に使う
・刃こぼれ(刃が欠けた時)、刃の形状の修正に使う
・基本的にプロの職人向け
中砥石(なかといし)

粒度(番手)
・一般的に#600~#2000
※基本は#1000前後
特徴
・全ての研ぎの基準となる砥石
・包丁を握る力はちょうど良く、刃の減りが中度の場合に使う
・刃の切れ味が悪くなった場合に使う(切れる状態に戻す)
・家庭で1つだけ使うとしたら選ぶべき砥石
仕上砥石(しあげといし)

粒度(番手)
・一般的に#3000~#8000
※#2000~#10000を超えるものまで幅広い種類がある
特徴
・砥石の中で最も研磨力が弱い
・包丁を握る力が弱く、刃の減りが小さい場合に使用する
・より鋭く、優れた切れ味にしたい場合に使う
・中砥石で研いだざらつきを細かく仕上げることができる
包丁砥石の基本情報まとめ

今回は、包丁を研ぐための、包丁砥石(ほうちょうといし)の基本情報(種類・粒度/番手)についてお届けしました。
包丁研ぎ初心者の方も、これまで何となく研いでいた方も、少し砥石についての知識が深まったでしょうか?
砥石には天然砥石や人造砥石、種類や粒度(番手)があることが分かりましたね。種類で言えば、家庭で一つ持つなら中砥石ということでした。
ぜひ今回ご紹介した砥石の基本情報を参考に、家庭で使いやすい砥石を選んでみてくださいね!
包丁研ぎで包丁の切れ味が良くなれば、調理が楽になりますね。食材の下ごしらえもきっと時短できますよ♪
次回も引き続き砥石コラムをお届けします。お楽しみに!
▼こちらもおすすめ▼

※送料込のお値段。研ぎ中は代わりの包丁をご用意いたします。
【参考情報】
・貝印
・ナニワ研磨工業 砥石のチカラ
・藤次郎
・キング砥石
・一文字厨器
メンテナンス
砥石の番手
・高蔵工業
・實光刃物
・一品逸品亭
監修者紹介
Bavi専属精肉職人:土屋

精肉職人歴17年。某大手スーパー精肉部門を拠点に精肉技術を磨いた。主任兼技術トレーナー。時にホテル、時に寿司屋、時に刃物店…付随する技術は自ら足を運んで修行の毎日。セルコグループ精肉部門技術コンテストにて堂々の日本一獲得。特技は体操。趣味はバイク・車・料理。
▼プロフィール詳細▼
https://bavi.jp/contents/bavi-meat/
チームBaviはバーベキューのプロ集団。10年以上続く出張BBQサービスの経験を活かして、信頼できる情報をお届けします! 出張BBQのご用命はコチラ▶▶▶【Bavi(手軽にBBQ.com)】https://www.gpc-bbq.com/